概要
カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置くベンチャー企業「ASKA」が FAA(アメリカ連邦航空局) から認可証明書を受けた飛行自動車 ASKA A5 が公道にて路上走行試験を実施したと発表しました。
ASKA 社はFAAの「Drive and fly eVTOL」認証プロセスを開始した世界初の企業であり、2022年から実地試験を開始し、2023年中に本格的な飛行試験を実施することを計画しています。
自動車形態と飛行機形態に変形し、飛行機・バス・自動車・自転車などの様々な交通手段を使わなければ到達できない場所にこれ1台で到達することが可能な点を最大の特長としています。また新たに専用の運用施設等を新設しなくても、既存の施設を利用して運用できるとしています。
ASKA A5 は2021から現在まで5,000万ドルの予約注文を獲得しており、各種試験を日夜続けています。
ASKA A5の特長
●基本能力
●自動車モードでは翼を畳んで小型トラック程の大きさになり、4つのホイールモーターで走行する
●場所を選ばないVTOL能力と滑走路を使用するSTOL能力を持つ
●飛行性能
●最高速度150mph (240km)
●最大航続距離は250miles (400km)
●前側の翼に2発、後ろの翼に4発のプロペラを備える
●後ろ側の翼のプロペラの2発は90度可動し、既存の航空機のようなプロペラ推進を生み出す
●安全機能
●不測の事態に備え、各プロペラのバッテリーは個別に独立した形式
●リチウムイオンバッテリーとエンジンによる2系統の駆動システム
●緊急用パラシュートを機体に備える
ASKA A5の展望
今後の自動車および飛行機産業に一石を投じる可能性のある未来の自動車 ASKA A5 ですが、現在では若干の飛行試験しか実施していないため、安全基準を維持しつつ、計画値の速度や航続距離を達成できるかが課題といえます。
飛行試験は稼働させる部位や負荷をかける部位が出てくるため、数多くの改良点が露見するはずです。
また ASKA A5 は変形部が多い構造をしています。変形部の機構は技術的な問題が格段に発生しやすいため、路上走行ほどの好成績を収めることは難しいと私はみています。そのため試行錯誤を繰り返しながら改良し、慎重にテストプログラムを遂行するため、開発が長期化することが予想されます。
いずれにせよ認可証明書を持ったASKA社の試験がもたらす情報は、業界にとって非常に貴重であるため、同業他社がその動向を注目しているといえるでしょう。
ASKA のCEOである Guy Kaplinsky (ガイ・カプリンスキー)氏はイスラエルの実業家で、日本の商社に勤務した経歴を持っています。また軍人として数年間国防に従事したこともあり、ユニークな発想ができる人かもしれません。
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